PL14節 ARSvsTOT プレスvsビルドアップ
ノース・ロンドン・ダービーとして注目された試合
結果は4-2でアーセナルの勝利
両者ともハイプレスの掛け合いでインテンシティの非常に高い激アツな試合となった。
そこで今回は、お互いのハイプレスとそれの攻略(プレスダウン、ビルドアップ)について徹底分析した。
【スタメンのシステム】
参照
【アーセナルのハイプレス】
・アーセナルのハイプレス
GKから繋がせない意思を一試合通して見えたアーセナル。スパーズは蹴るしかない。
流れの中でボールを繋ぐスパーズ。アーセナルのハイプレスの構造はこうだ。
① 赤CF⑭がCB間にポジショニング、サイド限定のタスクを担う。
赤SS⑦が白CM㉓のパスコースを切りながらボールホルダーにプレス。
赤WB②が白SB㉝に激しくアプローチ、前を向かせない。
赤CH⑪が白DH⑮に激しくアプローチ、前を向かせない。
これでボールサイドでボールを繋ぐことは不可能に。当然ながら逆サイドは3vs1になっているのだが...
② 赤SS⑰が白㉑㉔⑰で形成されるトライアルグルの真ん中にポジションを取る。
ボールホルダーはサイドチェンジはできないと判断する。残された選択は前線へロングボールしかない。
・スパーズのプレスダウン
しかし、スパーズには頼もしいターゲットとなる⑩ハリー・ケインがいる。
白⑩ケインがロングボールを裏のスペースへフリック、抜け出すのは快速アジア人⑦ソン・フンミン!!スペースがある中での彼のスピードは相手DFにとって大きな脅威となった。
【スパーズのハイプレス】
・スパーズのハイプレス
スパーズのハイプレスの目的はサイド誘導からのボールサイド圧縮型。
図を見れば分かるように、中央の人数はかなり多くスペースはない。
スパーズのプレス構造はこうだ。
① 赤CB⑤にはノープレッシャー。
運んでも中央の人数が多いことから、スペースは空かない。
CHへの縦パスも狭く、前を向けないため、効果的ではない。
赤RCB⑳には白LCF⑩が、赤LCB⑯には白RCF⑦が見る。
② RCB、LCBから出るSBへのパスは白SB㉔㉝がアプローチ。
これでサイド誘導成功、プレスが機能するかと思いきや...
サッカーとは相手がいて成り立つもの、思い通りにいかないことも多い。
起きた現象はこうだ。
① 白SB㉝が赤WB②へアプローチへ行きたいのだが、その内側に赤SS⑦がポジションを取っている。白SB㉝が出ればそのスペースを赤SS⑦に狙われる。でなければ赤WB②に運ばれて自陣へ撤退、プレス失敗となる。白CB⑤がスライドしても赤CF⑭がいる。チームとして優位に立ったのはアーセナルとなった。
また多く見られたプレスダウンの形がサイドチェンジ。スパーズがサイド誘導しようとスライドしたところで逆サイドのWBへロングボール。スパーズが1-4-3-1-2と中央に固まったシステムの構造的な部分をついたプレスダウンとなった。
しかし、ここで終わらないスパーズ、ポチェッティーノ。
すかさず、ハイプレスの構造を変更。
① 2CF1STから1CF2SSへ変更、CBに対して同数でプレスにいくように。
② 相手WBへのアプローチに行く選手をSBからSHへ変更。
これでアーセナルに対してマンツーマンのような形でのプレスになり、アーセナルに蹴る以外の選択肢を与えなかった。
・アーセナルのプレスダウン
前線にロングボールを蹴るわけだが、スパーズのようなターゲットとなりうる選手が見当たらない。しかし、アーセナルのCFはガボンのスピードスター、オーバメヤンだ。彼は彼なりの長所、スピードを持っている。そして裏には大きなスペースが...
狙うのは裏のスペース。ただ、裏を狙うだけじゃないのがアーセナルが素晴らしかった点。赤SS⑦が白SB㉝を引きつけながら中盤へ降りる。そこへ赤CF⑭がスプリント。多くのチャンスを作り出した。
【勝因と戦評】
お互いがハイプレスを掛け合い、ロングボールでの打開となったが面白かったのはロングボールの狙い所が違うところ。アーセナルはスペースへのロングボール、スパーズは選手へのロングボール。裏のスペースへボールを送り込むという目的は同じなのにプロセスが違う。これがサッカーの奥深さのひとつだろう。
前半30分はアーセナルの戦術がハマってかなり優位にたっていた。しかし、監督としての腕の見せどころ「修正力」で適切な対応をしたポチェッティーノ。とてもいい監督だと思った。
裏のスペースの利用という点でスピードが勝ったアーセナルが試合を制したという結末にはなった。記憶に残る激熱な試合になったのは間違いない。
この試合の一番の発見はスパーズにこんなかわいい選手がいたのか!と。
フォイスに惚れました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!